まい だいあり~

日々の何気ないできごとを綴っていきます。

いつか読んだお話が現実になったようだと思ったこと

久しぶりに叔母の家に遊びに行ったら、リビングのソファにクッションと見間違うような巨大な猫が寝そべっていました。
「あれ、猫飼ったの。」と聞きました。
どうせならもっと幼い子猫にすればよかったのに、という私に叔母が言った言葉にびっくりしたのです。

「飼った覚えはないんだけれど、しょっちゅう庭に来るから餌をやっていた野良猫がいつの間にか居候になっていた。」と言うではないですか。
え、どういうこと、と聞き返しました。

叔母によると、ある日突然庭に「大きいけれど?せている猫がやってきて窓から家の中をじっくりと眺めるようになった。」そうです。
あまりにもお腹が空いていそうだったので、ちょっとかわいそうになって夕飯の残りを少しあげたといいます。
その日以来、2日毎くらいのリズムでその猫がやってきては窓から家の中をのぞく、ということをし始めました。

最初は「野良猫に餌をやっているとゴミ箱を荒らすようになったりするかな。」と思って叔母も迷ったそうです。
近所迷惑になっても困るし、ということでやってきても知らん顔していたときもあったと言います。

ところがその猫は餌をもらってももらわなくてもやってきて一定の時間、窓の前に座って家の中をのぞいています。
餌をやったとはいえ、そばに近づこうとするとその場から少し離れたところに移動して、また座って叔母の方を見ていたそうです。
それが半年ほど続いた頃、ある日突然そばに行っても逃げなくなり、やがてやってきたらリビングの窓を前足でカリカリとして「来ましたよ。」と合図するようになったのです。

その頃には叔母のほうもすっかり猫となじんで専用のキャットフードなどを買っておいて、来るのを待っているようになっていました。
叔母はこの猫に名前までつけて「外猫」として扱うことに決めたといいます。
近所のゴミ箱を荒らしたりすることのないように餌は与える・もし雌猫で子供を産むようなことがあれば責任を持とうとも決心していたと話してくれました。
でも猫のほうはここまで来てもまだ家の中にまでは入ってくることはなかったのです。

このまま外猫でもいいか、と叔母が思ったころこれまた突然に餌を食べ終わった猫が自ら家の中に一歩入り、その場で毛づくろいしたそうです。
頭を撫でようとしても大人しくしているので、撫でてやると叔母の顔をじっと見ながらほとんど声を出さないけど口の形だけでわかるように「ミャーオ」と鳴いたそうです。

その日を境に猫は叔母の家にすっかり腰を落ち着け、獣医さんにも連れて行ってもらい・専用の寝床・おもちゃなどを買い与えられました。

おそらく、6,7歳だろうと思われるというこのオス猫、まさしく私が昔読んだポール・ギャリコの「猫語の教科書」そっくりの展開で叔母の家に住み着いたわけです。
この本は「野良猫が理想の飼い主を見つけるための指南書」という形をとっていた面白い本でした。
まるでその本で勉強してきたかのような展開に本当にびっくりしたのです。

「窓から家の中を見ている間は、きっと小さい子供がいないか・犬がいないかなんかチェックしていたのかもしれないわね。」という叔母に全く同感です。

今では定期的に「お風呂」にも入り、冷蔵庫の扉を誰か開けるために「ハムか・チーズを一切れ」もらうために急いでやってくるというこの猫、すごいなと思いました。
野良猫時代、人慣れはしているけれど用心しているという様子を見せていたというこの猫、もとはどこかの飼い猫だったのかもしれません。
引っ越しで置き去りにされたのか・自ら引っ越しすることを決めたのか「次はもっといい家庭を」と落ち着き先を物色していたとしか思えないのでした。

もともと動物好きの叔母は「せっかくこの子が私を飼い主と選んでくれたんだから、一緒に暮らしていこうと思ったのよ。」と言います。
こういう出会いもあるんだなあと思ったのでした。

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